「コーラ」と聞けば、炭酸飲料を思い浮かべる方がほとんどでしょう。
しかし、その名の由来となった植物「コーラナッツ(Kola nut)」については、意外と知られていません。
今回は、コーラの名前の由来にもなったスーパーナッツ「コーラナッツ」についてご紹介します。
コーラナッツとは?正体と栄養価

コーラナッツとは、西アフリカ原産の「コラの木」から採れる種子のこと。光沢のある茶色い実の中に、数粒の種がぎっしり詰まっており、現地では古くから嗜好品や薬用として利用されてきました。
注目すべきはその高いカフェイン含有量。コーヒー豆よりもカフェインを多く含むため、疲労回復や集中力の維持に効果があるとされており、「天然のエナジーナッツ」とも呼ばれています。
さらに、テオブロミンやポリフェノールといった抗酸化成分も含まれており、代謝促進や血流改善といった健康効果も期待されています。
コーラナッツの風味は?食べたらどんな味?
コーラナッツの味は一言でいうと「ほろ苦い」。噛むとやや渋みがあり、土っぽい風味とスパイスのような後味が特徴です。
そのまま食べると好みが分かれますが、スパイスやハーブと合わせて煮出すことで、コーラらしい複雑で深みのある香りを生み出す材料になります。まさに、クラフトコーラの“心臓部”と言える存在です。
コーラナッツと「コーラ飲料」の歴史的な関係

コーラナッツが飲料として世界的に知られるきっかけを作ったのが、1886年にアメリカの薬剤師ジョン・S・ペンバートンが開発した「コカ・コーラ」です。
当時のレシピには、覚醒作用を持つコーラナッツと、気分を高揚させるコカの葉が配合されており、これが「コカ・コーラ」の語源になっています。
その後、法規制などによりコカの成分は除去され、コーラナッツの使用も減少していきますが、クラフトコーラの世界では今なお重要な原料として扱われています。

コーラナッツが使用される代表的クラフトコーラ
コーラナッツの独特な風味とスパイスの調和を楽しむことができる、代表的なクラフトコーラを4つピックアップしました。コーラナッツが配合されたクラフトコーラを試してみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
伊良コーラ(いよしコーラ)

東京・下落合に工房を構えるクラフトコーラ専門メーカーです。創業者は漢方職人の孫で、祖父の技術と工房を受け継ぎ、100年前のオリジナルコーラレシピをベースに、コーラナッツや12種類以上のスパイスを調合して作られています。

Mellow Cola(メロウコーラ)

バーテンダーが開発したクラフトコーラシロップで、天然素材にこだわり、コーラナッツを使用しています。また、ガラナ、マカ、エゾウコギ、ウコンなども配合されており、肉体的・精神的に疲れている人、リフレッシュ・リラックスしたい人、お酒が好きな人におすすめのクラフトコーラです。
ともコーラ(TOMO’s CRAFT)

100%天然素材のみを使用したクラフトコーラで、農薬不使用のレモン・オレンジ・ライムを使用し、コーラナッツや15種類以上のハーブやスパイスをブレンドしています。甘み成分には沖縄県産のきび砂糖を採用し、甘味料や保存料は使用していません。
出雲SPICE LAB. クラフトコーラ

中国地方のスパイス農家が作ったクラフトコーラで、柑橘類はレモン・みかん・ライムの3種類を使用。コーラナッツや花椒、ナツメグ、コリアンダーなど、10種類のスパイスをブレンドしています。柑橘類とスパイスの香りがバランスよく調和するよう、徹底した温度管理で製造されています。
コーラナッツは“原点”であり“可能性”
栄養価の高さと独特の風味を併せ持つコーラナッツは、ただの原料にとどまらず、文化と歴史を背負った食材です。
現代のクラフトコーラでは、コーラナッツの香りと効能を再評価し、飲む人の体と心を刺激する新たなドリンクとして再登場しています。
次にコーラを飲むときは、そこに含まれる“ルーツ”の存在にも、ぜひ思いを馳せてみてください。

コメント
コメント一覧 (3件)
[…] 当時のコーラは、まだ炭酸も入っておらず、「神経を落ち着かせるトニック(強壮剤)」として薬局で販売されていました。主な原料は、アフリカ原産のコーラナッツ(苦味とカフェインを含む)と、南米原産のコカの葉(コカインの原料)。今のコーラとはまったく違う、“ちょっと怪しい健康ドリンク”だったのです。 […]
[…] オリジナルのコーラ(1886年にジョン・S・ペンバートンが考案)には、コカの葉(現在は使用不可)とコーラナッツ(カフェイン含有)が使われていました。 […]
[…] ペンバートンが最初に開発したのは「フレンチ・ワイン・コカ」という飲み物でした。これは赤ワインに、コカの葉(現在のコカインの原料)やコーラナッツ(カフェインを含む)などをブレンドした、当時流行していた「強壮飲料(ヴァン・マリアー二=Vin Mariani)」の一種です。 […]