コーラを生んだ“薬剤師”、ジョン・S・ペンバートンとは

「コカ・コーラ」を知らない人はほとんどいないでしょう。

世界中で愛されるこの黒い炭酸飲料のルーツをたどると、19世紀アメリカの一人の薬剤師にたどり着きます。その人物こそがジョン・スタイス・ペンバートン(John Stith Pemberton)。

彼こそが、コーラという飲み物を発明した張本人なのです。

目次

🧪 薬剤師だったペンバートンの人生

ジョン・ペンバートン

ペンバートンは1831年、アメリカ・ジョージア州に生まれました。
本業は薬剤師で、化学にも強い関心を持ち、さまざまな薬用飲料や治療薬の研究を行っていた人物です。

彼の人生を大きく変えたのは、南北戦争でした。従軍中に負ったケガがもとで、彼はモルヒネ中毒に悩まされるようになります。
この苦しみから抜け出すために、ペンバートンは代替の薬として「トニックドリンク」の開発に乗り出しました。

🍷 最初のコーラはアルコール入りだった?

ペンバートンが最初に開発したのは「フレンチ・ワイン・コカ」という飲み物でした。
これは赤ワインに、コカの葉(現在のコカインの原料)やコーラナッツ(カフェインを含む)などをブレンドした、当時流行していた「強壮飲料(ヴァン・マリアー二=Vin Mariani)」の一種です。

ところが1880年代、アメリカで禁酒運動が激しくなり、アルコールを含む飲み物は販売規制の対象に。
そこで彼はアルコールを除き、ノンアルコールの“改良版フレンチ・ワイン・コカ”を開発しました。これこそが、現在の「コカ・コーラ」の原型となるレシピです。

🧉 「コーラ」の名前の由来と販売のはじまり

コカ・コーラという名前は、主成分だった「コカ(Coca)」と「コーラナッツ(Kola)」から取られています。
販売当初は炭酸水と混ぜて飲むシロップとして、アトランタの薬局で販売されました。
このドリンクは、「頭痛に効く」「気分がスッキリする」などと宣伝され、徐々に人気を集めていきました。

ただ、ペンバートン自身はこの発明の大成功を見ることなく、1888年、57歳でこの世を去ってしまいます。
その後、ペンバートンのレシピを引き継いだビジネスマンたちが「コカ・コーラ社」を立ち上げ、世界的なブランドへと成長させていきました。

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🌎 彼の功績は“味”よりも“はじまり”にある

ジョン・S・ペンバートンが開発した当時のレシピと、現代のコカ・コーラには大きな違いがあります。
しかし、「健康を支える飲み物」として、人の悩みに寄り添う形で生まれたという点は、現代のクラフトコーラにも通じる理念です。

あの甘くて複雑な味わいの裏には、薬剤師としての情熱と、苦しみの中で生まれた“人間味ある発明”があるのです。

ペンバートンは、クラフトコーラの原点

ジョン・S・ペンバートンは、決して“炭酸飲料の発明家”ではありませんでした。
彼は一人の薬剤師として、人の健康を想いながら“香りと効能を持つ飲み物”を生み出した人物です。

クラフトコーラの世界で、素材にこだわり、香りやスパイスを丁寧に調合する人たちにとって、彼の存在はまさに始まりの人
コーラを飲むときには、ぜひこの偉大な薬剤師のことも、思い出してみてください。

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